本夜会の本データベース

東京と岡山を繋いで開催される本夜会。このブログは飽くまで、参加してくださった方向けに、当日紹介された本と盛り上がったお話をかいつまんで文章にしております。内容の薄さ濃ゆさは主催者の独断で決まっておりますが、ご了承ください。

動的平衡

 

 ■以前本夜会で話題に上ったことが手に取ったきっかけのひとつ

 

 

生き物や、生命についての知見を随筆として文章にしてくれる福岡伸一さん。

 

私は福岡先生の文章がとても好きです。

本の始まりは大体、生活の一片が描かれている気がします。

今回のように、仕事の中での同僚からの何気ない一言であったり。

そこには金儲けのような、大学教員ヒエラルキーのような、裏を返せば明日の食い扶持のような。

 

アカデミックで一見難しそうな単語が目に入ってきても、心地よい文体で描かれている、福岡先生の目を通して見える世界。

 

高尚さから一歩引いて俗世間を、内側まで生物学的な視点から客観的に見ている。

私は勝手に、現代の鴨長明派だと思っています。笑

 

 

今回紹介者さんが印象的だったこと、

「人間の細胞たちは1年間で全部変わるという衝撃」

1年前から自分は全然成長してない…何も変わってない…

と、大人になると特に思いがち。

 

だけど細胞レベルだとそんなことはありません。笑

ちょっとやそっとではなく、全部変わってます。

 

生命の不思議なのは、自分であること、生き続けるために、「分裂」「分解」と言った、寧ろ「壊すこと」を続ける、ということ。

勿論形については、生命体のあるべき姿を「再構築」していくので、破壊されて終わりではありません。

 

今ある自分自身が、壊すことの上に成り立っているというのは、不思議な感覚です。