動的平衡
■以前本夜会で話題に上ったことが手に取ったきっかけのひとつ
生き物や、生命についての知見を随筆として文章にしてくれる福岡伸一さん。
私は福岡先生の文章がとても好きです。
本の始まりは大体、生活の一片が描かれている気がします。
今回のように、仕事の中での同僚からの何気ない一言であったり。
そこには金儲けのような、大学教員ヒエラルキーのような、裏を返せば明日の食い扶持のような。
アカデミックで一見難しそうな単語が目に入ってきても、心地よい文体で描かれている、福岡先生の目を通して見える世界。
高尚さから一歩引いて俗世間を、内側まで生物学的な視点から客観的に見ている。
私は勝手に、現代の鴨長明派だと思っています。笑
今回紹介者さんが印象的だったこと、
「人間の細胞たちは1年間で全部変わるという衝撃」
1年前から自分は全然成長してない…何も変わってない…
と、大人になると特に思いがち。
だけど細胞レベルだとそんなことはありません。笑
ちょっとやそっとではなく、全部変わってます。
生命の不思議なのは、自分であること、生き続けるために、「分裂」「分解」と言った、寧ろ「壊すこと」を続ける、ということ。
勿論形については、生命体のあるべき姿を「再構築」していくので、破壊されて終わりではありません。
今ある自分自身が、壊すことの上に成り立っているというのは、不思議な感覚です。
フランケンシュタイン
愛してほしい怪物と、怪物を創り上げたフランケンシュタインの物語。
死体のつぎはぎで作られた怪物は、生々しい醜さのため、愛されない。
そんな怪物と、創造主フランケンシュタインの分かり合えない葛藤と闘いの旅。
舞台はジュネーブ。
ジュネーブの街の描写が鮮やかで引き込まれるのも、この作品の魅力だそう。
語り口は、野心溢れる冒険家の手紙として描かれる。
(冒険家は死と隣り合わせの生活なので、常に姉に向けて手紙を書いているらしい。)
ある日冒険家の前に、瀕死の男性が現れる。
この瀕死の男性こそがフランケンシュタインで、これまでの怪物の話を始めて…。
そんな始まりも、ロマンを誘いますね。
ちなみに、衝撃な事実が。
フランケンシュタインの怪物、ボルトは刺さってない。(笑)
というか、フランケンシュタイン=怪物だと思っていましたが、
フランケンシュタインは「怪物を作った親」
であって、ハロウィンのモデルの怪物そのものではないんですね…。
またひとつ、賢くなった。(笑)
フランケンシュタインを著したメアリーの人生を描いた、
『Mary Shelley(メアリーの総て)』という映画を見たことがきっかけで手に取ったそう。
18歳のメアリーは、パーシー・シェリーと恋をした。
駆け落ちし、イギリスからアメリカへ渡るが、
旦那となったパーシーは、とんでもなく女たらし。
駆け落ちに駆け落ちを重ねていたらしい。
元来裕福だった旦那は浪費を重ね、行く先々で借金取りに追われる波乱万丈な人生。
20歳の時にフランケンシュタインを書いた。
女性の地位が低かった時代、実名では出版できないので
匿名でなら出版してもいいと言われたことで、匿名で出版。
画期的な方法ですね~。
夢も見ずに眠った。
■手にしたきっかけ:「晴れの国で始まって晴れの国で終わる 」
25年にわたる2人の思い出を振り返るストーリー。
新しい愛のカタチが提示された作品だという紹介でした。
「岡山の町並みから始まる」、「山陰で終わる」と聞くと、岡山県民の心をくすぐります。
物語は全国を転々とした、夫婦の話。
紹介者さんが、「ふたりの人生が淡々と進んでいっていたのに
急に難しくなりだして終わる」、と感想を持たれていたのが印象的でした。
淡々と、もきっと、日々の暮らしを丁寧に描いているということでしょうが、急展開を見せるところ、なにがあるのでしょうか。
実際、基本的には、出会った大学生の若かりしときから、年取るまでの男女の気持ちが、
きちんと丁寧に書かれているそう。
ちなみに紹介者さんは
女の人って気が強かったりわがままだったりするのが、魅力的だと感じているそうで、ヒロインにもそんな一面があるとかないとか。
(そういう人が好きだと、紹介者さんは笑う)
鼻のところにしわを寄せて笑うシーンが素敵、だそうです。
たとえば新幹線の中、代わる代わるの景色を体感しながら読んでみたい、そんなことを思った一冊です。
精霊の守り人
ザ・ファンタジー!
古代(?)が舞台だったり、王位継承だったり、
ロマンあふれる世界観。
NHKでドラマにもなってましたね。
渋谷の農家
hatakeな生活を続けるお姉さんからのご紹介。
渋谷で農家になった、小倉崇さんの体験談や、
小倉さんが全国のユニークな農家さんを訪ねて知った、様々な農業をまとめた本。
畑でパーティーなんて面白い話も!
(とうもろこしは採りたてほやほやが最上級に甘くておいしいので、畑でとうもろこし祭!という流れらしい。素敵か。)
hatakeな紹介者さん含め農業してると、黙々としちゃう。
あれってなんでだろうな、と思ったら、
土と会話をしているから黙々としちゃうらしい。
土や土の上の虫と会話し、虫の種類をみて
「あ、この虫がいるから湿気が多いのかも」とか、
畑の状態を判断するようになる。
また、この本に登場する農業従事者の皆さんは
振り切っているというか、
ちょっとばかじゃないか(ユニークという誉め言葉)というか
突き詰め方が興味深い。
岡山近辺では
蒜山耕芸や、
小豆島の無農薬オリーブ園さんが登場。
移住した若者が農業従事する場合、5年までしか援助が受けられないため
続かない、といった農業業界の課題も取り上げられている。
古来種野菜を食べてください。
野菜のお姉さんの、
これから読みますの本。
なので、本の話ではなく、畑の話に。
市販の種って、次の種類が育てられないF1種(交配種)ばっかり売ってるもんらしい。
これはF1種なら、均一的な発芽・育成ができるから。
F2以降は、F1と比べてバラバラの性質になり易くなります。
農協批判をするわけではないが
ノウハウがあるはずなのに
農薬至上主義、ってなりがちなのはいかがなものかと。
草も抜いてただ捨てるんじゃなくて、
ばらまいとけば雑草が生えにくくなる、とか
有機栽培がもっとやりやすくなる方法も教えてくれたらいいのにね。
(ご商売的にできるかどうかは無視しています。)
hatakeなお姉さんの畑で育てたものを
おいしく食べられる機会がほしいな~という話から、
こんな話題に。
哲学入門
- 作者: バートランドラッセル,Bertrand Russell,高村夏輝
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/03/01
- メディア: 文庫
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紹介者さんは、
「他人の言うことは聞かないけど
浪人生の時にこの人の云うことは信じようと思えた」という作品。
素行の悪い人のことを考えるのは無駄だ
とか、大事な生き方はすべてラッセルから学んだそう。
別の常連参加者さんの旦那さん(哲学がすき)が来るかもと聞いて、
持ってきたそう。(生憎旦那さんはお越しにならず)
頑固そうなオヤジだが、
恋愛や人生についてズバズバ切り込むラッセル。
ググって基礎知識調べた後、本に入ったほうが読みやすいよ!とのこと。
(日本語訳が読みにくいから)
読み直し学びなおしするよりも、若い今のうちに読んだほうがいい。
うむ。手に取ってみようかな。